来る3月24日の熊本県知事選挙に向けて、当会が提出した質問状と各候補者からのご回答を公開いたします。
現時点で、幸山政史氏、木村敬氏お二人よりご回答をいただきました。
毛利秀徳氏へは、記載の住所へうかがいましたが、ご本人も関係者の方もおられず、質問状をお届けできませんでした。
宮川一彦氏へは、連絡先が不明でお届けできませんでした。
今後、他候補者からの回答を得られる機会がありましたら、公開していく予定です。
以下、質問状と各候補者からのご回答です。(掲載は回答順)
※ 会からの3つの質問を「黄色下線」、幸山政史氏候補のご回答を「紫色」、木村敬氏候補のご回答を「茶色」で示しています。
※ なお、当会の公開質問状と各候補者の回答はダウンロードできます。
ダウンロードはこちらから→ 公開質問状 幸山政史氏ご回答 木村敬氏ご回答
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2024年2月8日
熊本県知事選各候補者様
いつも県政にご尽力いただき、ありがとうございます。
また、この度は、熊本県知事選挙へご出馬されましたことに敬意を表します。
私たち「菊池市の学校給食を考える会」は、子どもたちに、より安全な給食を食べてもらいたい、身体・環境・未来に優しい持続可能な地域作りにつなげていきたい、という想いのもと、『すべての子どもたちに農薬・添加物・遺伝子操作の心配のない食材を提供する』ことを目標に、2020年より活動を行っております。県下で活動している「くまもとのタネと食を守る会」とも協力、情報共有をしながら運動を進めております。
さて、昨今、毒性学における数々の学術研究は最新の科学的知見を集積しており、それらによると、たとえ安全基準値内であっても長期にわたる有害物質摂取が心身に悪影響を及ぼす「長期微量摂取による悪影響」、複数の有害物質を日常的に摂取することによる「複合毒性」、また有害物質摂取により世代を超えて遺伝子に悪影響を与える「エピゲノム毒性」などが、世界的常識となっています。
日本国内においては、輸入小麦の除草剤グリホサート汚染問題にはじまった食への危機感、農薬など有害化学物質の最新知見による毒性学的懸念が一般市民へ広がり、今、全国的な学校給食オーガニック化運動へと広がっています。とりわけ影響力の大きい成長期の“食育”として、学校給食が大変重要な役割を担っているからです。
そこで、県知事選候補者の皆様には、学校給食、またその他関連事項に関しての見解をお聞かせいただきたく、公開質問状という形でお願いする次第です。
大変お忙しい中誠に恐縮ですが、3月1日までにメールでご回答、ご返信をいただけますよう、お願い申し上げます。
なお、ご回答の有無、内容につきましては、当会ホームページ、インスタグラムで公開するとともに、関係活動団体のメーリングリストなどで公表させていただきますことをご了承ください。
菊池市の学校給食を考える会 代表 中里 千恵
公開質問状
1.全国に広がりつつあるオーガニック給食を、熊本県において推進していく考えはありますか。
2.国は「みどりの食料システム戦略」を掲げていますが、熊本県においても積極的に有機農業を推進していく考えはありますか。
【幸山政史氏候補のご回答】
日頃から、子どもたちの健やかな成長を願って様々な活動を展開されておられますことに、改めて深く敬意を表しますとともに感謝申し上げます。 さて、2024年2月8月、貴団体から頂きました公開質問状について、下記のとおりご回答いたします。
記
1 全国に広がりつつあるオーガニック給食を熊本県においても推進していく考えはあるか
2 国は、「みどりの食料システム戦略」を掲げていますが、熊本県においても積極的に有機農業を推進していく考えはあるか
1,2は関連致しますので、まとめてお答えいたします。
・国では、令和3年に「みどりの食料システム戦略」がまとめられ、令和4年には法律も制定されました。この戦略では、2050年までにCO2ゼロエミッション、化学農薬使用量50%低減、化学肥料使用量30%低減、有機農業取組み面積25%拡大などの目標が定められ、これに基づいて、生産性の向上と環境負荷軽減の両立を図る技術革新が進められています。
・熊本県では、山都町と南阿蘇村などで先進的な取り組みが進められています。例えば、有機農業生産工程管理者数が全国で最も多い「有機農業日本一」の町である山都町では、平成15年に山都町有機農業協議会が設立され、有機農業を核としたまちづくりに取り組まれており、これらが認められ令和3年度には「SDGs未来都市」にも選定されています。
・また、南阿蘇村でも村の100%出資で設立した「南阿蘇農業みらい公社」を中心に、地元農家はもとより、地域おこし協力隊や九州東海大学農学部の協力を得ながら、令和5年にはオーガニックビレッジを宣言され、「南阿蘇村有機農業実施計画」に基づく各種事業を進めておられます。
〇これらのことを踏まえ、私は、有機農業を積極的に推進したいと考えており、今後、山都町や南阿蘇村など先進的に取り組まれている自治体等の協力をいただき、国の支援制度等を活用しながら、市町村や関係団体などと連携し有機農業を全県下に広げてまいります。
〇また、オーガニック給食の導入については、量の確保や価格が課題となっていることから、有機農業を県下全域に広げる取り組みの中でこれらの課題を解決しながら、積極的に推進して参りたいと考えています。〇さらに、公約の1つに掲げています、高校での学校給食を検討するにあたっては、併せて、地場農水産物、特に有機農業による地場産品の利用拡大にもつなげてまいりたいと考えております。
【木村敬氏候補のご回答】
1.全国に広がりつつあるオーガニック給食を、熊本県において推進していく考えはありますか。
熊本の食文化のブランド化を進める前提として、こどもたちに食の重要性を認識してもらうため、「くまもと食育戦略」を定め、食育を戦略的に進めます。
オーガニック給食をくまもと食育戦略の中に位置付け、適切に推進します。
2.国は「みどりの食料システム戦略」を掲げていますが、熊本県においても積極的に有機農業を推進していく考えはありますか。
熊本の豊かな食文化を活かし、高付加価値化を進めることで、稼げる農林畜水産業を実現し、素晴らしい 「食のみやこ熊本県」を創造します。「みどりの食料システム戦略」の一つの柱であるとともに、食の高付加価値化の観点においても有機農業は有効であり、有機農業や不耕起農業に取り組む農家・地域に対し、飲食店や給食等で商品化する実証実験を支援します。
3.熊本県においては、企業の進出が相次いでおり、いかに農地・水・環境を守るかが重要な課題です。これらは、食と切り離すことのできない根源的な課題であり、農地及び地下水量の減少に対する懸念、そして環境においては、昨年検出された地下水や河川のPFAS汚染など、毒性学の知見を鑑みても一刻も早い対応策を行うべきと考えますが、このことについてのお考えをお聞かせ下さい。
【幸山政史氏候補のご回答】
3 熊本県において企業の進出が相次いでおり、いかに農地・水・環境を守るかが重要な課題である。これらは食と切り離すことが出来ない根源的な課題であり、農地及び地下水量の減少に対する懸念、そして環境においては、昨年検出された地下水や河川のPFAS汚染など、毒性学の見地を鑑みても一刻も早い対策を行うべきと考えるが、このことについての考えは
・昨年8月に、県担当課職員と有識者(大学教授)で構成される調査団が台湾を訪問し、半導体関連産業集積に伴う環境影響について現地調査が行われています。それによると、台湾の環境基準を順守し適切な対応が図られていたとのことでしたが、熊本での稼働の際は、我が国や本県の法令等に基づき、改めて、監視・指導を行う必要があります。
・地下水量の保全については、県の指針に基づき、事業者は、採取量と同等の量の涵養量を確保することが求められており、そこで、TSMC熊本工場を運営するJASMでは、昨年、県や農業関係団体など5者で包括協定を、またくまもと地下水財団との間でも協定を締結するなど、取水量以上の涵養目標を掲げ、必要な対策を講じるとされています。
・また、地下水質、特に、フッ素化合物の汚染に関しては、昨年、熊本市の定点観測井から国の暫定基準を超える量のPFOS,PFOAが検出され、その後、範囲を拡大した追加調査でも植木地区や白川地区の飲用井戸から暫定基準を超える値が検出されています。
・熊本市では、原因究明に向け調査を継続するとともに、汚染井戸の飲料禁止の呼び掛けや住民相談窓口の設置などを実施していますが、原因を特定するまでには至っていません。
〇これらのことを踏まえ、私は、半導体産業の集積に伴う地下水をはじめとした環境の保全については、熊本県が先頭に立って関係市町村と連携し、事業者の協力も得ながら全力を挙げて取り組まなければならないと考えております。
〇具体的には、法令に基づく事業者の環境保全の取組みを定期的に監視することはもちろんですが、これらの監視結果の情報については幅広く公開することで、住民の皆様の不安解消に努めること。また、農地などの涵養域が減少していることから、水田湛水事業はもとより、「緑の流域治水」政策と連動した森林や里山などの涵養域の保全に積極的に努めていくこと。さらには、地下水の取水量を減らすため、事業者に対して可能な限り水の再利用を求めるとともに、県としてもそれらの取り組みを支援することなど、市町村等と連携しながら総合的に取組んでいく必要があると考えています。
〇フッ素化合物による汚染対策については、熊本市と連携し原因究明に全力を挙げ、その結果をもとに必要な対策を講じるとともに、情報の提供や相談対応など住民の皆様の不安解消にも取組んでまいります。
【木村敬氏候補のご回答】
3.熊本県においては、企業の進出が相次いでおり、いかに農地・水・環境を守るかが重要な課題です。これらは、食と切り離すことのできない根源的な課題であり、農地及び地下水量の減少に対する懸念、そして環境においては、昨年検出された地下水や河川の PFAS 汚染など、毒性学の知見を鑑みても一刻も早い対応策を行うべきと考えますが、このことについてのお考えをお聞かせください。
環境への配慮は熊本県にとって、そして県民の安全・安心にとって必須の課題。特に、熊本の水資源は世界に誇る財産であり、農地と共に確実に保全していきます。企業の進出に伴う地下水利用の影響を、①地下水利用量の制限、②地下水以外の水の利用の促進、③最先端技術を活用した排水の再利用(環境循環工業用水)の3原則で最小化します。河川・地下水の有機フッ素化合物(PFOS、PFOA)や規制外の化学物質に関する環境モニタリング、調査を徹底し、情報を公開します。
農地については、工場進出に対しても営農継続ができるよう、農地と工場とのベストバランスによる共存共栄を目指します。
農地・水・環境を守り、豊かで高付加価値かつ、安全安心な熊本の「食」を確かなものにします。