「ゲノム編集食品」に反対することは、学校給食の改善にどうつながるのか?

「ゲノム編集食品」の問題点については、以前(「ゲノム編集食品」って?~どこが問題なの?(その1)~)で取り上げたが、今回は私たち菊池市の学校給食を考える会がなぜこの問題について活動するのかをお話ししたい。

現在、日本国内でゲノム編集食品として販売されているのは、ゲノム編集トマト(シシリアンルージュ・ハイギャバ)、ゲノム編集マダイ、ゲノム編集トラフグ、の3つで、今の段階では希望者にのみ販売という形式をとっている。
しかし、問題点が多いと指摘されているゲノム編集技術にも関わらず、国の政策「みどりの食料システム戦略」では、ゲノム編集などの遺伝子操作された作物やRNA農薬(遺伝子操作農薬)などへの転換を行っていくと示され、今後市場は大きく拡大していく可能性がある。

このような流れの背景には、世界的な食の独占をねらうバイテク企業の思惑がある。
その大きな戦略であった遺伝子組み換え食品は人々から嫌われてしまったという苦い経験から、同じ失敗を避けるために「ゲノム編集食品へは一切規制を設ける必要はない」と主張した。
その主張を残念ながらまるごと受け入れてしまった日本は、ゲノム編集食品に対して ①安全性審査・環境影響評価も行わないまま、②必要な情報も公開せず、③食品表示もないまま、流通可能となってしまった。

そうなると、学校給食へはどのような問題が出てくるのか?

ひとつ目は、『ゲノム編集食品自体の安全性が確かめられていないのに、それを避けたくても選べなくなる』という問題である。
これまで人が食べたことのない未知の食品であるにもかかわらず、細胞分裂の活発な成長期の子どもたちにゲノム編集食品を与えるということは、人体実験にひとしいのではなかろうか。
ブラックボックス化している遺伝子組み換え原材料の問題と同様、子どもたちは気付かずにそれを体に取り込んでしまうだろう。

そしてふたつ目は、『交雑による遺伝子汚染』の問題である。
2021年5月、ゲノム編集トマトの苗約2万本が、販売会社であるパイオニアエコサイエンス社によって全国の家庭菜園者へ無償提供された。
さらに、2022年には障がい者福祉施設と高齢者福祉施設へ、2023年には小学校へ、ゲノム編集トマト苗の無償配布が計画されている。
このようにゲノム編集作物の栽培が拡大していけば、交雑により多くの作物が遺伝子汚染され、取り返しのつかない問題を引き起こし、農業・食に大きな影響を与えてしまう。

私たちは、子どもたちの健全な成長と正常に生きるための食の素材自体を守りたい、という想いで「ゲノム編集食品」を止めるための活動も行うのである。