「ゲノム編集食品」って?
~どこが問題なの?(その1)~

「ゲノム編集食品」は、簡単に言えば「”遺伝子を壊された生き物”で作られた食品」だ。
「遺伝子組み換え」と「ゲノム編集」はどう違うのかというと、遺伝子を”入れる”か”壊す”かだけの違いで、それ以外の手順は何ら変わらない。
『どちらかというと、遺伝子を”壊す”より他の生き物の遺伝子を”入れる”ほうが危ないのでは?だから「ゲノム編集食品」は「遺伝子組み換え食品」より安全だろう』と考える人もいるだろう。

しかし、実際はその逆であるという科学者は多数存在する。
というのも、ゲノム編集で遺伝子を”壊す”ことは、細胞にとって最も脅威的なDNA損傷(「二本鎖切断」)を引き起こすからだ。
そのため、修復の際、壊した部分だけでなく遺伝子全体にどんな変化が起こるか分からない。
このような現象は、自然界での突然変異はもちろん今までの品種改良でも起こり得ない事なのだ。

もうひとつ、私たちが誤解しやすい点がある。
それは、”ゲノム編集は目的の遺伝子を正確に切ることができる高性能な技術”だという点である。
ここで私たちの勝手なイメージでは、遺伝子を切るハサミは目的の遺伝子の数だけ(ターゲットがひとつならハサミもひとつ)だと思ってしまう。
しかし実際は、ひとつの遺伝子を切るために、1個の細胞の中に数千万個~数億個のハサミを入れる。
そのため、目的の遺伝子だけではなく、類似する遺伝子まで全て壊されてしまう。(「オフターゲット現象」)

また、遺伝子は互いにコミュニケーションをとりながら全体のバランスを保っている。ターゲットの遺伝子を破壊することによって、ゲノム全体にどのような影響を及ぼすかは全く未知なのである。

現在販売されているゲノム編集トマト「シシリアンルージュ・ハイギャバ」、ゲノム編集マダイ、ゲノム編集トラフグ、これらは全ゲノムの解析および目的以外の変化は起きていないかなどのチェックが限定的にしか行われていない(その報告内容も公開されていない)。

「ゲノム編集食品」は、未だ人間が食べたことのない”未知の食品”である。
身体や環境にどのような影響が出てくるか分からない。
遺伝子がかき乱された結果、私たちの孫やひ孫に悲惨な人生を背負わせてしまうことだけは、あってはならないのではないだろうか。